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物語

寝間着になるTシャツはいらない

とある数年前の夏の日のことです。

日々最高気温を更新するような、「うだるような熱さ」の中、私は自身の店の表に立っておりました。

猛暑日の有酸素運動。

それはまるで、シャツを着たままシャワーを浴びたような、抗うことの出来ない滝のような汗を参道を行き交う人々が皆、それをまとっておりました。

体にへばりつくシャツ。

地球上にある、全ての「着物」の中で、それは一番心地の悪い着物。

「ここでTシャツ買うて、着替えて行こで」

私と同い年くらいでしょうか。

少し日焼けして赤くなった30代の男性がそう言い、ウチの店の前で仲間と足を止めました。

黒縁のメガネをかけた仲間の男性の一人が、

「この讃岐うどんて書いたTシャツにしようぜ!」

と少し普段よりも高い声で仲間に言いました。

 

人間、テンションを揚げたい時は「ダッシュ」つまり体を動かすと上がるそうです。

 

「旅行のテンション」と、「こんぴらさん帰りの運動後のテンション」で少し普段より大きくなった彼の声に、仲間三人は「早く着替えたい」彼の気持ちに賛同した。

当店の「讃岐うどん」と書いたTシャツが人数分レジに運ばれる。

 

するとポツリと一人が

「これ、モロだね。帰って普段着るか?」

その一言に、少しお洒落な黒縁眼鏡の彼が

「そうだね。安いんだし、パジャマにすればいいじゃん 笑」

それに最初立ち止まり、着替えを提案した彼が

「観光地に売ってるTシャツはこんなもんだろ。だいたいダサいよね 笑」

「武将とか名言とか、どうすんの帰った後、着ないしょ 笑」

 

私が

「パジャマにならないお土産Tシャツ作ろう」

と決意した瞬間のお話でした。

 

お土産Tシャツ

売ってます。

ただいま、爆売れにつき欠品サイズ多数。

月末に数百枚入荷します。

店頭分は確保しています。

よろしくお願いいたします。